ネジと工具のお話
| Posted in アルピーヌ , メンテナンス , ルノー/ルーテシア2RS , 工具 | Posted on 2012/09/08
今回はいつもとチョット違う視点で、書いていきたいと思います。
車には、いろいろな規格のネジが使われていまして、
各自動車メーカーでも使っている物に偏りがあるようです。
当然それに対応する工具が必要になります。
これは、ルノー5ターボのテールレンズの取り付けボルトですが
一見普通のプラス(フィリップス)に見えますが、溝の間にヒゲのように
薄い筋が入っています。
これは、ポジドライブという規格で、
工具側にも、同じ溝がついています。
出先での緊急の場合など
普通のプラスで緩めることも、できなくはないですが
溝の中の角度や太さなどが異なり
溝を痛めて緩まなくなってしまう場合があります。
そうなると、またそれをリカバリーするための工具があって
余計な手間をかけてしまいますので、注意が必要になります。
それではいろいろな規格の工具を見ていきたいと思います。
これはマイナスです。
普段からよく見る形ですが、サイズは無限にあります。
というのも、意外にこれは規格化されていないそうで、
幅、長さなど微妙に異なりまして
工具の各メーカーからは、ほとんどサイズ表記で販売されています。
まあ見れば大体の大きさはわかると思いますが、はめてみるのが
確実な方法です。
右側は、車のネジに最も多く使われているので
お解りと思いますが、六角ボルトです。
よく見るこんな形のソケットやメガネレンチなどで緩めたり、締め付けたりします。
上の写真は12ポイントで30度に1回ハマるようになっています。
下の写真のように
6ポイントの工具もありまして、それは60度に一度しかハマりません。
それぞれ、特徴がありまして
12ポイントは奥まった場所などで、ネジ頭にアクセスしやすい、
6ポイントはネジの頭が多少削れていても引っかかってくれるなどです。
いずれも、ジェイエンジンで使用している工具は、面接触の物になりまして
ネジの角を痛めにくくしているものです。
左側は、六角穴付ボルト=通称キャップボルトです。
工具はこれです。
L型やL型にグリップがついているもの、先端がボール状になっていて
角度を付けて回せる物など、バリエーションはいろいろあります。
角度を付けて回せる物など、バリエーションはいろいろあります。
フランス車にはよく出てくる、TORX(トルクス)やヘクスローブと言われているものです。
色々なところに使っていますので、ドライバー式の物を1セット持っておくと大変便利です。
今年のフレンチブルーミーティングで少量販売しますのでよろしくお願いします。
因みに、中心に凸があるボルトはイジリ防止TORXと言って
工具の中心が穴あきのものも存在します。
また、トルクスに酷似したトルクスプラスなんていうものもあります。
上のトルクスがメス用の工具だとしたら、
これはトルクスのオス用の工具になり、名称はE型トルクスになります。
最近は、ヘッドボルトなどにも使われていまして、
高トルクには6角ボルトよりも有利だとされているようです。
因みに、クリオ2のタイミングベルト交換時結構出てきます。
トリプルスクエア(四角三重)という規格で
ドイツ車、イタリア車にはトルクスよりも多く使われている印象があります。
これのいじり防止もドイツ車のオイルドレンに使われています。
RIBE(リブ)という規格で、イタリア車のヘッド周りなどで見かけます。
アルピーヌV6ターボのホイルキャップもこれで付いています。
フランス車のオイルドレンと言えばこれ、というほど昔から変わらない
スクエアです。
古いミッションなどで使われています。
これは規格ではありませんが
ネジの頭を痛めてしまって、通常の工具では緩めることができなくなってしまったときに使う
ターボソケットです。
緩める方向に回すと、ソケットが食い込んでいって
最終的にネジが緩んでくれるというものですが、
これを使えば絶対に緩む、というわけでもありません。
これはブレーキライン等に使われている
フレアナットという、パイプを止めるためのナットです。
スパナで緩めようとすると、2面にしか力が掛かりませんので
ネジ頭を痛めてしまいます。
このように、割れの入っているメガネレンチのような
フレアナットレンチ、という工具で緩めます。(手前側)
緩める力が各面に分散します。
奥側は、緩んだあとにいちいちレンチを外さないで
滑らせながら回せるようになっている、スピードレンチとかファーストレンチ
などと言われている形状になっています。
便利工具も、色々とあります。
手がまともに入らないときなどに使います。
ソケットから、手を放しても保持していてくれるマグネット付きソケット
狭いところで、角度をつけたいときに使う
ユニバーサルソケット
このソケットは便利機能が合体していて
鉄以外のネジもボールのテンションで保持していてくれます。
スパークプラグにはプラグレンチを使いますが
このタイプはラバーで保持します。
ソケットを付けて、ネジを締めたり緩めたりする
ラチェットハンドル
因みにこれは20数年前に初めて買ったものです。
未だ現役で使えておりますので、いいものは長く使える証拠といったところですね。
前後方向に首を振るラチェットハンドル
左右方向に首を振るラチェットハンドル
右のメガネレンチに対して
左はギアレンチなどと言われている、ラチェットを使わずに
往復運動だけで締め、緩めができる便利なものです。
昔のものよりも、ギアが細かくなってきていて
少しの振り角で使えるようになってきました。
ブレーキシューの取り付けスプリングリテーナーを
回転させながら外すソケットです。
これがないとプライヤなどで挟んで外すことになりますので
、誤って飛ばして紛失ということになりかねません。
他にも、まだまだ規格があるようですし、長いもの短いものなど
各規格ごとにサイズを揃えなければいけませんので、
色々と工具は増える一方です。
また、同じ工具でも、工具そのもののグレードがあります。
安物の工具では緩まなかったものが、グレードの高い工具で
緩むケースも多々あります。
ネジを回す以外にも
切る、挟む、削る、穴を開ける、曲げる、などなど
当然、他にも各作業に対応する工具が必要です。
改めて見てみると、かなりの種類の工具が存在するのが
再認識されました。
ちょっと自分的にも面白かったので
また近いうちに、違う工具の紹介などをしてみたいと思います。
各作業においてお客様の車のネジなどを
極力傷めずに作業するのも
大きなサービスだと考えております。